共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

舌癌WPOI-5の成立と予後を決定する癌微小環境の解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K10053
体系的課題番号
JP21K10053
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

近年、癌細胞の様式分類の1つであるWorst Pattern of Invasion(WPOI)が、舌癌患者の予後予測に有用であることが分かってきており、特に「浸潤先端部の胞巣集団から1mm以上離れた遊離胞巣が存在している状態」を示す病型“WPOI-5”では、患者生存率低下との関連が認められる。本研究では、WPOI-5病態における遊離胞巣の形成機序を明らかにすることを長期目的として、ヒト口腔癌スフェロイドをマウス舌組織に移植した担癌マウスの組織解析とヒトWPOI-5症例の免疫表現型解析を行う。
初年度では、ヒト口腔癌細胞株(HSC-2、KOSC-2、OSC-19、OSC-20)を用いてスフェロイド培養法を検討し、得られた口腔癌スフェロイドの形態学的特徴・免疫表現型を解析した。低接着性培養プレートを使用したスフェロイド培養やHanging drop法・浮遊回転培養法を組み合わせたスフェロイド培養を試行し、最大で直径1.5~2 mmの口腔癌スフェロイドを形成する至適条件を得ることができた。口腔癌スフェロイドのパラフィン包埋試料から連続薄切標本を作製して形態観察を行ったところ、口腔癌スフェロイドの立体形状や大きさは癌細胞株の分化傾向に依存し、培養時間の経過に伴う死細胞局在やスフェロイドサイズの減少には違いが生じていた。低酸素マーカー、細胞増殖マーカー、アポトーシスマーカー、細胞間接着分子の免疫表現型解析では、癌細胞株により低酸素に対する抵抗性、細胞死の誘導パターンが異なることも明らかとなった。口腔癌組織では間質境界面の癌細胞にCD44発現などの極性が認められるが、今回作製した口腔癌スフェロイドにおいて極性は確認できなかった。癌スフェロイドの形質は腫瘍移植片組織の癌細胞に類似すると想定していたが、間質・足場シグナルを欠いた培養環境下では、生物学的性状が異なるものと考えられた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K10053
ID情報
  • 課題番号 : 21K10053
  • 体系的課題番号 : JP21K10053