2015年5月
生活困難を抱える母子家庭の母親理解に関する生成的実践-母親規範に回収されない理解-
社会福祉学
- 巻
- 56
- 号
- 1
- 開始ページ
- 61
- 終了ページ
- 73
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- 一般社団法人日本社会福祉学会
本論文では,近年の日本における「標準家族」を想定した家族規範,母親規範そのものを再考せざるをえないような,複合的な問題を抱えた母子への支援において,どのような母親理解が生成的に生み出されているかに着目した.そして母子生活支援施設の支援者が,ある困難事例の中で母親をどのように語るのかをインタビュー・データを素材として考察した.カテゴリー化実践の視点から分析した結果,データには「お母さん」「彼女」「Aさん」という三つの次元の異なる呼称(標識)があり,それらの語りの内容を比較検討した.その結果,「母親規範の裂け目」という状況を契機に,母親役割を外在化したり,支後者の専門的自己をゆるがすような強い呼びかけが,「彼女」「Aさん」の呼称を用いた語りに生じていることを見いだした.特に「Aさん」という呼称があらわす利用者理解には,母親役割に回収されない女性支援の視点の萌芽があると論じた.
- リンク情報
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- CiNii Articles
- http://ci.nii.ac.jp/naid/110009986687
- CiNii Books
- http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00314800
- URL
- http://id.ndl.go.jp/bib/026682445
- ID情報
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- ISSN : 0911-0232
- CiNii Articles ID : 110009986687
- CiNii Books ID : AN00314800