MISC

2020年5月

Actinomycesによるバイオフィルム形成に対する有機酸の影響

BACTERIAL ADHERENCE & BIOFILM
  • 泉福 英信
  • ,
  • 鈴木 到

33
開始ページ
55
終了ページ
58
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本バイオフィルム学会

歯垢(バイオフィルム)内pHは、糖を含む食物や飲料を摂取することでpH5.0以下に低下する。pH5.0以下にする要因は、バイオフィルム内細菌が糖を代謝して産生する有機酸(乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等)である。これら、有機酸のバイオフィルムへの影響について、あまり検討が行われていない。そこで歯面初期付着および凝集菌であり、Actinomyces naeslundiiやActinomyces orisのバイオフィルム形成に対する有機酸の影響を検討した。フローセル(流れのある環境)を用いて、0.25%スクロース添加TSB培地(TSBs)にA.naeslundii x600およびA.oris MG1(親株)または線毛変異株:ΔfimA株(OD600=0.4)を接種し、酪酸や酪酸塩を様々な高濃度(60mM)と低濃度(6.25mM)濃度で加えた。続けて、37℃、5%CO2下にて、40時間培養した。浮遊菌を滅菌PBSによる洗浄にて除去後、Live/Dead染色により生菌および死菌を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。60mM酪酸はA.naeslundiiのバイオフィルム形成を低pH依存的に誘導し、6.25mMの酪酸はA.orisのバイオフィルム形成を線毛依存的に誘導した。食事の際に歯垢内で産生される有機酸は、様々な条件下でActinomycesのバイオフィルム形成を誘導することが明らかとなった。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1348-6071
  • 医中誌Web ID : 2020323794

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