論文

査読有り 責任著者
2020年

アミロースオートアナライザーを活用したイネ餅硬化性の効率的評価法の開発

育種学研究
  • 道満 剛平
  • ,
  • 平山 裕治
  • ,
  • 佐藤 毅
  • ,
  • 田中 淳一

22
1
開始ページ
11
終了ページ
20
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.1270/jsbbr.19J18
出版者・発行元
日本育種学会

<p>イネの糯品種には餅生地の硬化が速い品種と遅い品種があり,用途により求められる餅硬化性(以下,硬化性)が異なることから,硬化性の評価は糯品種の育成過程に不可避である.餅生地の作製は大量の原料米の確保に加え,多大な労力と時間が必要なため,膨大な点数を扱う選抜初期においては,簡易かつ効率的な評価法の開発と選抜指標が求められてきた.本研究では,育種現場にも導入されている改良型のアミロースオートアナライザーを利用し,硬化性の初期世代からの効率的選抜に適用可能な評価法を開発したので報告する.波長域400~900 nmのヨウ素吸収スペクトルを測定し,添加するI2/KI溶液濃度を粳米測定時の2倍にしてブランクのヨウ素吸光スペクトルとの差分を算出することで,糯米のアミロペクチンによるヨウ素吸光スペクトルを効率よく抽出することができた.糯米のヨウ素吸光スペクトルから硬化性との関係の深い解析値を検討した結果,各波長の吸光度の積算値(IVA)が24時間後の餅硬度および曲がり法におけるb/a値と高い正の相関を示すことを見出した.この相関はラピッドビスコアナライザー(RVA)による粘度上昇開始温度や最高粘度到達温度等の従来利用されてきた硬化性指標のそれと遜色ないものであった.当評価法の有効性検証のために選抜初期の育種集団に適用したところ,IVAと餅硬度の間に高い相関が認められた.開発した手法は,RVAを用いる方法と比較して,1)極少の米粉量で測定可能,2)サンプルあたり半分以下の測定時間で計測可能,3)自動連続分析が可能,以上の3つの利点を有していた.当評価法は,硬化性の選抜初期からの効率的選抜を可能にし,糯米品種育成の効率化や硬化性の高い「きたふくもち」や硬化性の低い「風の子もち」等の特徴ある硬化性を持つ糯品種の育成に資することが期待される.</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.1270/jsbbr.19J18
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007869245
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA11317194
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/030532318
ID情報
  • DOI : 10.1270/jsbbr.19J18
  • ISSN : 1344-7629
  • CiNii Articles ID : 130007869245
  • CiNii Books ID : AA11317194

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