論文

2014年3月

保護者制度廃止をめぐって 医療保護入院はどう変わるのか? 保護者制度廃止 精神医療改革から見た達成点と課題

司法精神医学
  • 白石 弘巳

9
1
開始ページ
61
終了ページ
66
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本司法精神医学会

2013年の精神保健福祉法改正において,保護義務の撤廃とそれに伴う医療保護入院の要件の変更が行われたことの意義と今後に遺された課題について論じた.保護義務が法規定上から削除されること自体は,日本の精神保健福祉の法制度において意義深いことであったが,医療保護入院が2014年4月以降,家族等の同意で行われることになった点,保護者規定が削除されたあとの精神障害者の人権擁護を誰が担うのかという点,その他,家族の負担軽減や医療保護入院の期間短縮などに関して十分な応接が行われたとは言えず,いまだに過渡期の改正にとどまっていると論じた.今後の課題として,医療保護入院における家族等の同意要件を廃止し精神医療審査会が迅速に審査する制度を導入すること,家族の負担を軽減するための地域における相談支援体制の充実,「医療を受けさせる義務」が削除されたあと,精神障害者の治療に支障を来さないようにするための制度と実践などを挙げた.(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1881-0330
  • 医中誌Web ID : 2014207661

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