2018年6月 - 2020年3月
元素戦略を考慮した室内環境改善機能を持つフレキシブル透明太陽電池の創製
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
本研究は未利用エネルギーを活用し,室内環境を改善する環境に調和したCuI_(1-x)Br_x(=CuIBr)光吸収層でZnOナノロッドの隙間を埋める透明太陽電池を作製することを目標としている.これまでn型半導体の微細構造としてTiO2微粒子を用いていた.しかし,微粒子同士の接触面がキャリアの移動を妨げるため整流特性は確認できたものの発電には至らなかった.そこで,本研究ではn型半導体同士の接合部がなくなるZnOナノロッドを採用した.ZnOナノロッドはFTOをコーティングした石英基板上にZnOシード層をゾルゲル法で堆積させ,さらにその上に水熱合成法により作製した.微細構造の隙間にCuIBrを堆積するには溶液塗布法による堆積が必要となる.これまでTiO2微粒子構造の空隙への堆積には成功していたが同じ塗布溶液を用いるとZnOナノロッドが基板からはげることが分かった.これまで溶媒にアセトニトリル,添加剤に硝酸を用いていたが,溶媒を2メトキシエタノールとモノエタノールアミンに変更した結果,ZnOナノロッド空隙にCuIBr(x=0.5)を堆積させることに成功した.CuIBr/ZnOナノロッド構造は可視域で70%以上の透過率を示し,また,励起子吸収を示したため高品質なCuIBrが堆積されたことが分かった.また,CuIBrからの光励起発光スペクトルを観測したところ励起子発光を示し高品質なCuIBrが製膜されていること,CuI, CuBr原料粉末の発光と比較するとドナーアクセプタ対発光が減少しており,溶液塗布により薄膜化した方が品質が向上していることが分かった.このCuIBr/ZnOナノロッドの電圧電流特性を観測したところ整流特性を示し,透明pn接合を実現できたことが分かった.加えて,疑似太陽光照射下で,発電はしなかったものの整流特性が変化したことから紫外光に反応していることが分かった.
- ID情報
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- 課題番号 : 18K19872
- 体系的課題番号 : JP18K19872
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論文
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Japanese Journal of Applied Physics 59(SC) SCCB09-SCCB09 2020年2月1日 査読有り最終著者責任著者