論文

2012年6月

メノポーズカウンセラーの活動 職業や地域のかかわり、啓発活動を通じて 口腔乾燥症に対するコメディカルの役割

更年期と加齢のヘルスケア
  • 伊藤 加代子

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開始ページ
73
終了ページ
76
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
更年期と加齢のヘルスケア学会((NPO)更年期と加齢のヘルスケア)

口腔乾燥症は、更年期および更年期以降の女性に多くみられる口腔の症状である。適切な治療によって、口腔乾燥症状が軽減すれば、更年期症状の緩解につながる可能性もある。口腔乾燥症に対するコメディカルの役割は、情報提供を行い、必要に応じて医療機関への橋渡しをすることであり、その重要性は非常に高い。提供する情報は、1)口腔乾燥症の自覚症状を知る、2)原因を知る、3)検査方法を知る、4)医療機関での治療方法を知る、5)セルフケアについて指導できる、という5点に集約される。自覚症状には、口腔乾燥感、会話困難感、咀嚼困難感、嚥下困難感、唾液の粘稠感、灼熱感などがあげられるが、更年期症状に関する問診の際、口腔内症状についての聞き取りも行うことで、把握することが可能であろう。口腔乾燥症の原因は、薬剤の副作用、シェーグレン症候群、ストレス、全身疾患、唾液腺疾患、頭頸部の放射線治療の副作用、口呼吸、心因性など様々である。しかし、いずれの原因であっても、共通して行えるセルフケアがあり、それを紹介するのもコメディカルの役割のひとつである。セルフケアには、保湿剤の使用、唾液腺のマッサージ、加湿器の使用、自律神経のバランスを整えるために規則正しい生活を送るように指導することなどが含まれる。口腔乾燥症に対するコメディカルの役割は、口腔乾燥症を診る専門外来があり、そこで口腔乾燥症に対してどのようなことを行っているのかという情報を提供すること、保湿剤の使用や唾液腺マッサージなどのセルフケアを指導することなどであり、口腔乾燥症状の軽減は、QOLの向上に役立つばかりでなく、更年期症状の緩解にもつながるのではないかと考えている。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1347-801X
  • 医中誌Web ID : 2012316919

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