2013年 - 2015年
コンパッション・セラピーによる認知行動変容の比較文化研究
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C))
- 課題番号
- 25380944
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
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- (総額)
- 4,810,000円
- (直接経費)
- 3,700,000円
- (間接経費)
- 1,110,000円
- 資金種別
- 競争的資金
本研究は,コンパッション・セラピーに関する比較文化的研究を行い,日本人にとって重要な介入方法を考案し,その治験を行うことを目的とする。平成25年度は,自己批判への肯定的スキーマに関する尺度を作成した。方法参加者 大学生171名(女性=59.0%,平均年齢19.6歳,範囲18-27歳)。手続き 予備調査として,大学生146名を対象として自己批判に関するポジティブな考え,ネガティブな考えを自由記述してもらった。その結果を踏まえて,41項目からなる自己批判スキーマ尺度を作成し,大学生を対象に実施した。その他,自尊心尺度,Self-compassion Scale,特性不安尺度,自己評価式抑うつ尺度,人生満足感尺度,自己否定思考尺度,the Weekly Diary of Self-Critical Thoughts ,抑うつ的反すうに関するポジティブな信念尺度,反すうに関する肯定的信念尺度に回答を求めた。結果自己批判スキーマ尺度の因子分析(重み付きのない最小自乗法, promax回転)を行ったところ,自己向上(14項目,α=.93),悪化回避(12項目,α=.88)という2つのポジティブ信念とネガティブ信念(6項目,α=.90)の合計3因子が得られた。自己批判に関する信念3因子について,他の2因子を制御変数として各尺度との偏相関を求めた。その結果,自己批判に関する信念は,自尊心,不安,抑うつの低減につながる自己向上,逆にそれらを高めてしまう悪化回避,ネガティブ信念という特徴があることが明らかになった。以上の結果は,コンパッション・セラピーにおける自己批判の扱い方について示唆を与えている。すなわち,自己批判によって自己向上が可能という信念については介入は必要ないが,悪化回避やネガティブ信念については治療過程で扱う必要性がある。
- ID情報
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- 課題番号 : 25380944