共同研究・競争的資金等の研究課題

1999年 - 2002年

二核金属-活性酸素錯体の構造と反応性の精密制御

文部科学省  科学研究費助成事業  特定領域研究

課題番号
11228206
体系的課題番号
JP11228206
配分額
(総額)
60,700,000円
(直接経費)
60,700,000円
資金種別
競争的資金

ビス(ピリジルエチル)アミン系3座配位子およびビス(ピリジルエチル)エチルアミン系2座配位子を用いて調製した一連の銅(I)錯体と分子状酸素との反応について詳細に検討を行った。その結果、3座配位子を用いた場合には、サイドオン型の二核銅(II)ペルオキソ錯体が生成するのに対して、2座配位子を用いた場合には、酸素-酸素結合が開裂して生成する高原子価のビス(μ-オキソ)二核銅(III)錯体が選択的に得られることを見いだした。3座配位子を用いて調製したサイドオン型の二核銅(II)ペルオキソ錯体はフェノラート誘導体と効率よく反応し、対応する酸素化生成物であるカテコール誘導体を定量的に与えた。詳細な速度論的検討の結果、本反応はペルオキソ種による芳香族求電子置換反応機構で進行することを明らかにした。本反応はチロシナーゼの反応機構に対して重要な知見を提供する世界で最初のモデル反応である。一方、2座配位子を用いて調製したビス(μ-オキソ)二核銅(III)錯体は脂肪族の効率的な水酸化反応やスルフィドおよびボスフィンへの効率的な酸素添加反応を行うことが分かった。これらの反応機能についても速度論的に検討を加え、それらの詳細を明らかにした。さらに、ビス(μ-オキソ)二核銅(III)錯体と10-メチル-9,10-ジヒドロアクリジンや1,4-シクロヘキサジエンなどとの反応では、酸素錯体の不均化によって生成する新規な(μ-オキソ)(μ-オキシラジカル)二核銅(III)錯体の関与が強く示唆され、メタンモノオキシゲナーゼの反応機構について重要な情報を提供した。さらに立体障害の小さいアルキル基を導入した2座配位子を用いた場合には、混合原子価の三核銅(II, II, III)錯体を得ることに成功し、マルチ銅タンパク質の機能解明に有用な情報を提供した。その他、中心金属としてニッケルを用いて同様の酸素錯体を得ることに成功すると共に、分子状酸素の同属体であるジスルフィド誘導体の還元的開裂過程の精密制御にも成功を収めた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-11228206
ID情報
  • 課題番号 : 11228206
  • 体系的課題番号 : JP11228206