基本情報

所属
明治学院大学 教養教育センター 教授
明治学院共通科目
学位
修士(文学)(筑波大学大学院)
博士(文学)(筑波大学大学院 博士課程)

J-GLOBAL ID
200901026812264602
researchmap会員ID
1000267544

外部リンク

 博士学位請求論文(1998年7月筑波大学大学院博士課程哲学・思想研究科哲学専攻提出,翌1999年1月博士(文学)学位授与)では,デカルトの初期著述である『音楽提要 Compendium Musicae』(1619年)の分析を通じ,デカルトが,数理思想史において重要な位置を占めていたハルモニア(harmonia)論との決定的な決別を果たしたことを確認し,併せて,日本の学術界には殆ど顧みられることのなかった哲学・思想史と音楽思想史との精神史的接点を紹介することを試みた。
 この博士論文は,日本学術振興会平成十三年度(2001年度)科学研究費補助金(研究成果公開促進費)学術図書の交付を受け,訂正・加筆の上,2002年2月20日に哲学書房より『デカルトにおける〈比例〉思想の研究』として上梓することとなった。
 以後,西洋精神史における特殊西洋的な思惟構造の一端が,自由学芸(Artes liberales)の数学的諸学(quadrivium)に位置付けられた「音楽 Musica」の神学・形而上学的存在論のあり方と密接に連関し合い,このあり方が17世紀を堺として急激に変化することにより,いわゆる「科学革命」と称された知的転換に影響を及ぼしたものであるとの仮説を立て,その観点から哲学・思想史,数理思想史,音楽思想史の横断的な研究を進めている。
 目下の関心は,中世的「旋法」から近代的「調性」への変遷の過程,及び,その原因についてである。特に後者に関しては,元々「自由学芸」としての「音楽」が担わされていた「比例論」からの解放がルネサンス期に生じた後,一方では,デカルトに代表されるような「情念」との結び付きにおいて音楽を捉える傾向が見られるものの,他方において,伝統的「比例論」と結びついていた神学・形而上学的な「象徴主義」(ハルモニア論)が極度に肥大していく中で(ロバート・フラッド,マラン・メルセンヌ,アタナシウス・キルヒャー等々),「音楽」のもつ「倫理的効果」を積極的に利用しようとする近代的な「エートス論」が顕著に現れるという事実があるため,このような精神史的本質が具体的に現象化し「調性」として形成されるに至ったものであると推測している段階である。


主要な論文

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主要な講演・口頭発表等

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担当経験のある科目(授業)

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