2017年4月 - 2020年3月
ピューリタン革命における共和主義思想の研究:国家論と教会論の相互関係の視角から
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
本研究の目的は、ピューリタン革命期(1640-60年)の共和主義思想の動態と特質を、同時代の国家論と教会論の相互関係の視角から明らかにすることにある。前年度においては同時代の国家教会制度とその基本理念を中心に検討を進めたことから、とくに今年度は共和主義の国家理論(コモンウェルス論)に焦点をあてることが基本方針であった。具体的には、前年度において着手した共和主義者ジョン・ストリーター(John Streater)の研究をさらに深く掘り下げることを中軸に据えた。これによって、以下の2つの知見を得ることができた。
(1)ストリーターは、従来、質的に異なるものと認識されてきた1640年代の急進主義と1650年代の共和主義とを結びつける思想家としばしば見なされてきたものの、イギリスにおいてすらその十分な検討が怠られてきた。本研究はクロムウェルの護国卿体制の設立原理の中にこそ、そうしたストリーターの思想の核心を読み解く鍵があることを発見した。
(2)ストリーターはジョン・ミルトン、マーチャモント・ニーダム、ジェームズ・ハリントンら17世紀イギリス共和主義の重鎮たちの陰に隠れた矮小な思想家と見られることが多かった。しかし、本研究ではストリーターこそ当時の共和主義の総体を解明する基軸になる思想家であることを明らかにした。
なお、今年度は奉職する首都大学東京からサバティカル・リーヴを許されたため、イギリスのオックスフォード大学セント・エドマンド・ホール(カレッジ)および歴史学部に1年間籍を置いて研究に従事することができた。わけても同大学のブレア・ウォーデン教授その他と意見交換を行いつつ、同大学のボードリアン図書館の膨大な資料を利用して知見を深めることができたことは極めて意義深かった。
(1)ストリーターは、従来、質的に異なるものと認識されてきた1640年代の急進主義と1650年代の共和主義とを結びつける思想家としばしば見なされてきたものの、イギリスにおいてすらその十分な検討が怠られてきた。本研究はクロムウェルの護国卿体制の設立原理の中にこそ、そうしたストリーターの思想の核心を読み解く鍵があることを発見した。
(2)ストリーターはジョン・ミルトン、マーチャモント・ニーダム、ジェームズ・ハリントンら17世紀イギリス共和主義の重鎮たちの陰に隠れた矮小な思想家と見られることが多かった。しかし、本研究ではストリーターこそ当時の共和主義の総体を解明する基軸になる思想家であることを明らかにした。
なお、今年度は奉職する首都大学東京からサバティカル・リーヴを許されたため、イギリスのオックスフォード大学セント・エドマンド・ホール(カレッジ)および歴史学部に1年間籍を置いて研究に従事することができた。わけても同大学のブレア・ウォーデン教授その他と意見交換を行いつつ、同大学のボードリアン図書館の膨大な資料を利用して知見を深めることができたことは極めて意義深かった。
- ID情報
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- 課題番号 : 17K03546
- 体系的課題番号 : JP17K03546