2021年4月 - 2024年3月
国際的なアウトソーシングの進展が先進国と発展途上国の経済厚生に与える効果の分析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
2021年度は、ディスカッションペーパーとして発表していた、国際的なアウトソーシングの進展が先進国と発展途上国の経済厚生に与える効果に関する研究に加筆修正して、学内の紀要『商大論集』に公刊した(参考文献の(1))。この研究では、先進国のイノベーション活動における効率性の上昇がアウトソーシングを減少させるならば、先進国と発展途上国の経済厚生がともに改善することを示した。
また、関連研究のサーベイを行う中で、特に生産移転の経路としてアウトソーシングや海外直接投資を導入しているプロダクト・サイクルモデルに関しては、完全雇用を前提としているモデルが多いことがわかったため、先述の2021年度に公刊した研究に、賃金の硬直性による失業を導入したモデルを構築した。
分析の結果、解析的には明確な結果が得られない部分が多いため、数値計算を行っている。主な結果は以下のとおりである。発展途上国において失業が発生している状況では、アウトソーシングの進展により、ほとんどのパラメータ値において、先進国の賃金率は減少し、イノベーションは増加する。発展途上国の雇用の変化については明確な結果が得られていないが、発展途上国の雇用量が増加(減少)すれば、発展途上国(先進国)の経済厚生が改善するという結果が得られる。今後、学会発表などを行い分析結果を精緻化し、2022年度中にディスカッションペーパーなどの形で公表する予定である。
[参考文献]
(1)清水隆則「国際的なアウトソーシングの経済厚生分析―品質上昇型プロダクト・サイクルモデルによる分析-」『商大論集』第73巻 第3号pp. 263-278
また、関連研究のサーベイを行う中で、特に生産移転の経路としてアウトソーシングや海外直接投資を導入しているプロダクト・サイクルモデルに関しては、完全雇用を前提としているモデルが多いことがわかったため、先述の2021年度に公刊した研究に、賃金の硬直性による失業を導入したモデルを構築した。
分析の結果、解析的には明確な結果が得られない部分が多いため、数値計算を行っている。主な結果は以下のとおりである。発展途上国において失業が発生している状況では、アウトソーシングの進展により、ほとんどのパラメータ値において、先進国の賃金率は減少し、イノベーションは増加する。発展途上国の雇用の変化については明確な結果が得られていないが、発展途上国の雇用量が増加(減少)すれば、発展途上国(先進国)の経済厚生が改善するという結果が得られる。今後、学会発表などを行い分析結果を精緻化し、2022年度中にディスカッションペーパーなどの形で公表する予定である。
[参考文献]
(1)清水隆則「国際的なアウトソーシングの経済厚生分析―品質上昇型プロダクト・サイクルモデルによる分析-」『商大論集』第73巻 第3号pp. 263-278
- ID情報
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- 課題番号 : 21K01445
- 体系的課題番号 : JP21K01445