論文

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2014年9月

共通の価値に基づくQOL概念の再検討

生命倫理
  • 圓増 文

24
1
開始ページ
4
終了ページ
14
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.20593/jabedit.24.1_4
出版者・発行元
日本生命倫理学会

本論文は、医療の基本的な目標としてのQOLを取り上げ、そのより正確な定義を行うことを目的としている。医療に関連した領域では、治療目標としてのQOLをより具体的にいかに理解するかをめぐって、一見して相異なる説明が見られる。一方で、QOLは主観的なものと説明されることがあり、他方で、客観的なものと説明されることもある。本論文では、まず、こうした「主観的」および「客観的」がそれぞれ二通りの意味で用いられていることを指摘した上で、その区別に対応して、QOLの理解をめぐり二つの論点があることを明らかにする。すなわち、1)誰が特定の患者のQOLを判断するのか、2) QOL判断のための社会に共通の指標を設定することは可能か否かである。次に、各論点について、「よりよい生活good life」をめぐる生命倫理および規範倫理学の議論への検討を手掛かりとして、検討を加え、これを通じて、1) QOLは患者と医療者とのコミュニケーションを通じてより正確に判断されるものであるが、ただし患者の考え方・判断に応じて各評価項目の重みづけが変わること、2)「よりよい生活」に関する私たちの社会の共通の価値判断に基づいて、QOLの指標を定めることが可能であるが、ただし注目すべき評価項目は個々の患者の状況に応じて異なることを示す。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.20593/jabedit.24.1_4
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/110009959771
URL
http://search.jamas.or.jp/link/ui/2015028150
ID情報
  • DOI : 10.20593/jabedit.24.1_4
  • CiNii Articles ID : 110009959771

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