MISC

2006年

水中運動実施の水温が感情,体温,血中NK細胞活性に及ぼす影響――中高年女性における水温30℃と34℃の比較

北海道大学大学院教育学研究科紀要
  • 森谷絜

99
開始ページ
55
終了ページ
69
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14943/b.edu.99.55
出版者・発行元
北海道大学大学院教育学研究科

水中運動は低体力者や障害をもつ人たちにも,「積極的休養法」になりうる運動と考えられる。本研究では,中高年女性を対象として,楽しみながら無理なく行う強度の水中運動が,実施者の感情・自律神経機能・免疫機能・体温に及ぼす効果を検討した。午後7時から,音楽のある環境で,熟練した指導者に従って,4-9名の集団で50分間の水中運動を実施させた。50分間の水中運動の替わりに,写真集を眺めて過ごす対照安静日を別な日の同一時刻に設けた。プールの水温は,29-30℃,33-34℃の2種とし,可久的に同様の水中運動を行い,水中運動と対照安静実験前後の測定値を比較した。両水温ともに,水中運動後に快感情とリラックス感得点が高まり,血漿ノルアドレナリン(NA)濃度が上昇したが,対照安静後に有意な変化は認められなかった。自然免疫能の指標である血中ナチュラルキラー(NK)細胞活性は,水温33-34℃のプールで実施した水中運動後に上昇したが,29-30℃のプールと対照安静では変化しなかった。直腸温は,水温33-34℃のプールで実施した水中運動では,運動開始数分後から上昇したのに対し,29-30℃では最初低下し40-50分で上昇した。対照安静実験では低下し続けた。平均直腸温変化量積分値とNK 活性変化量との間に,有意な正の相関が認められた。両水温での50分間の水中運動実施は,交感神経活動(血漿NA 濃度)を適度に高めることで感情を改善する可能性が推察される。水温29-30℃に比べて,33-34℃のプールは,水中運動実施によって,深部体温を上昇させてNK活性を高めるのに適していると考えられる。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14943/b.edu.99.55
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/120000954555
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA11464009
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/8551597
URL
http://hdl.handle.net/2115/14788
ID情報
  • DOI : 10.14943/b.edu.99.55
  • ISSN : 1345-7543
  • CiNii Articles ID : 120000954555
  • CiNii Books ID : AA11464009

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