2012年7月
国際宇宙ステーション時代の結晶成長 その2 ISS「きぼう」における氷の結晶成長とパターン形成実験
日本結晶成長学会誌
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- 巻
- 39
- 号
- 2
- 開始ページ
- 61
- 終了ページ
- 67
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.19009/jjacg.39.2_61
- 出版者・発行元
- 日本結晶成長学会
過冷却水中で成長する氷結晶のパターンは,成長条件によってきわめて薄い円盤状から,六方対称の発達した樹枝状まで大きく変化する.円盤結晶の形態不安定化とパターン形成の機構を解明するために,国際宇宙ステーション「きぼう」において氷の結晶成長実験を実施した.氷は,a 軸およびc 軸方向への成長がそれぞれ付着成長と沿面成長に対応し,異方性の強い樹枝状結晶を生成する.これまで,樹枝の先端(a 軸方向)の成長速度は,極低過冷却(⊿T=0.2 K以下)では,遠方の過冷却度で決まる樹枝状成長の基本則からずれており,この原因は対流の影響であると解釈されていた.しかし,対流効果のない微小重力下でもこの"ずれ"が見られたことから,本質的な成長モードの違いであることがわかった.また,沿面成長する底面(c 軸方向)の成長については,臨界過冷却度(約0.2 K)以下では成長しないことも初めて明らかになった.これらは,樹枝状成長の基本則は,氷のような異方性の強い結晶にはもはや適用できないことを意味しており,今後成長モードの異方性と成長により放出される潜熱の大きさの異方性を考慮した樹枝状成長のモデルのさらなる発展が必要である.
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.19009/jjacg.39.2_61
- ISSN : 0385-6275
- J-Global ID : 201202266799348400
- CiNii Articles ID : 110009489613
- CiNii Books ID : AN00188386