共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年 - 2005年

高齢者における心身と口腔機能との関係を解明するための縦断介入研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
15390582
体系的課題番号
JP15390582
配分額
(総額)
13,700,000円
(直接経費)
13,700,000円

口腔機能の保全は、高齢者の心身機能を健全に維持し、健康寿命を延伸するうえで重要と推察されているが、従来、口腔機能と全身機能や高齢者心理の関係を縦断的に調査した研究は少なく、詳細は不明である。本研究の目的は、高齢者を対象とした歯科的介入に際し、その前後の口腔機能、全身機能の診査を行うことにより、歯科的介入による口腔状態の改善が高齢者の全身機能や心理状態に及ぼす影響を、縦断的に解明することにある。歯科介入のもっとも低廉な手段は、集団歯科健診と、その結果に基づく個別指導や歯科医療機関への受診勧告である。そこで本研究では、市内特定地域に居住する70歳以上高齢者に対しこれら方法による歯科介入を行い、その効果を評価した。
本研究では、1年を隔てた2度の集団歯科検診に参加し、初年度に受診勧告を行った530名を対象とした。このうち約70%が、この1年の間に歯科を受診した。受診群と非受診群の特徴を検索したところ、初年度においては現在歯数や処置歯数が多く、未補綴歯数が少なく、咬合支持状態が良い一方で、齲蝕歯数やCPIには差がないことから、両群には歯科受診の必要度に差はなく、受診行動に差がある可能性が推察された。2年目の健診では、受診群は非受診群にくらべて齲蝕歯数が有意に多く減少し、義歯の使用者数が増し、義歯に関する問題が減少するなど、受診に伴う口腔状態の改善が認められたが、心身機能への影響は観察されず、より長期の縦断研究の必要が推察された。集団歯科健診における受診勧告は高齢者の受診行動を変容させるには効果が希薄であり、健診後の事後指導による介入効果を期待するには、より効果的な指導法の整備が必要と考えられた。本研究の成果を含めた現時点での知見を盛り込み、高齢者を対象に口腔ケアの意義と効果を強く印象付け、動機付けを促す視覚教材(DVDビデオ)が製作された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15390582
ID情報
  • 課題番号 : 15390582
  • 体系的課題番号 : JP15390582