共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年4月 - 2007年3月

フェリック・フェラスポリカチオンの短距離・中距離構造と複雑凝集

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
17206075
体系的課題番号
JP17206075
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
49,140,000円
(直接経費)
37,800,000円
(間接経費)
11,340,000円

水溶液中の金属鉄の腐食のおいては、水に溶解したフェラスイオン(Fe(II))とフェリックイオン(Fe(III))からポリカチオンの凝集が起こり、いわゆる腐食生成物が形成する。それらの過程で、複雑な構造のオキシ水酸化鉄や酸化鉄が生成ずる。本研究では、それらの酸化鉄等における短距離構造に及ぼす異種カチオンや異種アニオンの影響を明らかにするため、EXAFS測定法、定量的X線回折法による系統的な構造解析を行った。それとともに、水溶液の反応条件を電位やpHの測定により精密に評価し、様々なポリカチオンの凝集挙動を検討した。ここでは、特にフェラスイオンを多く含むGreen Rust(GR)を合成し、温度や酸素供給速度等を制御した反応条件で、GRが異なる種類の酸化鉄やオキシ水酸化鉄に変化する過程を解析した。一連の結果から、GRからオキシ水酸化鉄への構造変化が、水溶液の温度やpHによって敏感に変化することなどを明らかにした。また、様々なポリカチオンの構造に及ぼすMnなどの異種原子の影響を調べるには、FeとMn等の原子番号が近いため通常のX線構造解析法では得られない。そこで、この欠点を克服できるX線異常散乱法を用いた解析により、Mn等がFe_3O_4のカチオンサイトに均一に分散することを明らかにした。さらに、反応条件を制御して合成したフェラスイオンを含むGRに異種アニオンを加え、水溶液中で酸化させたときに構造変化するオキシ水酸化鉄の中距離構造・短距離構造等も明らかにした。これらの結果は、GRtからオキシ水酸化鉄へ構造変化する際に異種イオン(ケイ酸塩イオン等)が取り込まれ、原子レベルの構造が乱れることなどを示した。これらの原子レベルの構造乱れは、粒子の形態だけでなくイオン選択性等の特性にも影響していることなどを考察した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17206075
ID情報
  • 課題番号 : 17206075
  • 体系的課題番号 : JP17206075