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2008年7月 - 2008年7月

植物性乳酸菌によるラッキョウ漬け多糖残渣の飼料化


【背景】
ラッキョウ漬けにおいて、乳酸菌発酵は、「旨み」を向上させることができるため、その製造工程にかかせないものとなっている。乳酸菌の中でも、Lactobacillus plantarum(いわゆる植物性乳酸菌)は、多糖生産能を有し、ラッキョウ漬けに優れた乳酸菌として選抜され、ラッキョウ製品の大手メーカーで使用されている。しかしながら、乳酸菌発酵後、ラッキョウの成形残渣および漬け込み発酵残渣は、未活用のまま廃棄されている。
我々は、以前より、乳酸菌および乳酸菌が生産する多糖が、ブタなどの産業動物の免疫能を高める可能性を見出している。このことは、ラッキョウ漬けの工程で大量に廃棄され、乳酸菌や多糖を多く含む上記発酵残渣が、ブタなどの免疫力を高め、減投薬につながる飼料として発展的に利用できる可能性を強く示唆する。さらに、発酵残渣には、アミノ酸をはじめ、肉質向上に有効な成分を多く含むことが予想され、その有効利用が期待される。

【目的】
本研究では、未利用資源としてのラッキョウ残渣および漬け込み発酵多糖残渣について、ブタやウシにおける免疫能を高め、成長を促進するとともに、肉質向上に寄与する飼料化の可能性を検討し、その応用開発を行う。
本年度は、まず、残渣の飼料化のための粉末化の条件検討を行い、ラッキョウ残渣および発酵多糖残渣のブタやウシにおける嗜好性の調査・検討を行うとともに、残渣の成分分析を行い、飼料開発のための安全性、免疫機能や肉質向上性との関連成分に関する基礎情報を得る。さらに、残渣に含まれる乳酸菌および多糖の免疫機能性について、ブタ由来の免疫担当細胞に対する各種免疫応答性を指標として検討し、実証試験につながる基礎を築く。