共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

主要二枚貝の性・性成熟・産卵を制御する脳ホルモンの役割と人工種苗生産への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
16H04978
体系的課題番号
JP16H04978
配分額
(総額)
16,900,000円
(直接経費)
13,000,000円
(間接経費)
3,900,000円

1)性的未分化ホタテガイへのpyGnRH11aaとpyGnRH12aa投与による性分化への影響
問題であった北海道産の種苗の中から生残が期待できるホタテガイを厳選したが、GnRHペプチド投与の有無に関わらず、高い死亡率のために解析に至らなかった。並行して進めていたペプチドホルモンの投与方法の検討の結果、新たな低侵襲性の投与法を開発することができた。貝殻と外套膜の間隙(外套外腔)へのGnRHペプチドーカカオバターエマルジョン投与が、低侵襲性で90%もの極めて高い生残率を示し、ペプチドホルモンの除法的な体内吸収をも実現できる方法であることが明らかになった。この手法を用いて、青森県水産総合研究所の協力を得て、同様の投与実験を再度試みているところである。
2)卵巣と精巣の組織へのpyGnRH11aaとpyGnRH12aa添加培養による性分化への影響
成長期の卵母細胞の成長は、pyGnRH12aa添加で促進され、pyGnRH11aaがその機能を抑制している傾向があった。特に、未分化期の卵巣で顕著に雌特異的遺伝子foxl2の発現量がpyGnRH12aaによって強く促され、pyGnRH11aaによって低く抑えられた。一方、卵巣でもわずかに発現している雄特異的遺伝子dmrtは、pyGnRH11aaによって発現量が高くなった。これらの結果は、これまで報告してきた雌におけるpyGnRH11aaによる卵形成の阻害と雄性化への性転換に加えて、新たに、これまで未知だったpyGnRH12aaが卵形成の促進と雌性化の性分化を促している可能性が示唆された。
3)全長OMAFに対する抗体を用いたOMAF阻害による5-HT(セロトニン)産卵誘発の増強効果の検討
ホタテガイOMAF全配列に対する抗体による前処理は、アカザラガイ、アサリのセロトニンによる放精数を上昇させるとともに、各種二枚貝精子運動能を活性化した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16H04978
ID情報
  • 課題番号 : 16H04978
  • 体系的課題番号 : JP16H04978