健康な成人ボランティア11例を対象とし、歯科用治療椅子で仰臥位にし、右側前腕内側に皮下注射で薬剤を投与した。薬剤は生理食塩水、メピバカイン、デクスメデトミジン、メピバカインにデクスメデトミジンを添加した4種とし、同一被験者に対して最低1日以上空けて各薬剤を投与した。投与前後に循環動態、血流量、鎮静状態を調査し、循環動態は血圧と脈拍、血流量は組織血流量、組織血液量および組織血流速度、鎮静状態はRichmond Agitation Sedation ScaleとBispectral Indexを測定した。その結果、メピバカインにデクスメデトミジンを添加した薬剤において組織血流量、組織血液量、組織血流速度とも投与前後で有意に低下した。循環動態と鎮静状態はどの薬剤も投与前後で有意差はなかった。デクスメデトミジンを添加したメピバカインは、循環動態や鎮静効果に影響を及ぼすことなく組織血流量を減少させ、血管収縮作用を有する局所麻酔薬になることが示唆された。