共同研究・競争的資金等の研究課題

カーボンナノチューブガスセンサを用いたガス絶縁電力機器の設備診断


資金種別
競争的資金

電気絶縁性と消弧性に優れたSF6(六弗化イオウ)ガスを絶縁媒体に用いたガス絶縁電力機器(GIS)は、変電所のコンパクト化と信頼性向上に大きな貢献をしてきました。我国ではGISの導入は1960年代から導入が始まり既に40年以上が経過していますが、電力分野を取り巻く電力自由化などを背景に、その延命化とライフサイクルコストの低減が求められています。保守作業の合理化・自動化・コスト低減のためには、各種センサによりGISの状態を監視し、監視データに基づいて必要最小限の保守管理を実施する必要があります。
私達は、独自に開発した誘電泳動集積法によって作製したカーボンナノチューブガスセンサが、GIS内部の異常現象(部分放電)によって発生したSF6分解ガスを高感度で検出できることを見出し、これをGISの故障診断に応用する技術を開発しています(特許出願中)。これまでにも、ガス検知管やガスクロマトグラフィーなどによってSF6分解ガスを検出する技術はありましたが、カーボンナノチューブガスセンサは感度やコストの点でこれら従来法よりも優れています。部分放電によって発生するSF6分解ガスは多種多様ですが、フーリエ変換赤外分光(FTIR)分析と分子軌道計算の結果、 SF4とSOF2がセンサ応答に最も寄与していることがわかりました。更に、分解ガスの輸送過程には、部分放電によって発生するコロナ風が大きく関わっていることなども解明されつつあります。