共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年6月 - 2021年3月

分子の自己組織化に基づくナノ界面アシンメトリー化学

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
16H06513
体系的課題番号
JP16H06513
配分額
(総額)
120,120,000円
(直接経費)
92,400,000円
(間接経費)
27,720,000円

金属錯体と合理的に設計された有機分子の自己組織化に基づき、配位構造並びに集積構造の非対称性(アシンメトリー)を実現するための基盤技術と機能創成をはかることを目的とする。本年度はL-グルタミン酸骨格を有するキラルなアニオン性脂質とハロゲン架橋一次元錯体の複合体[Pt(en)2][PtX2(en)2](lipid)4 (X=Cl, Br)について単結晶構造解析に成功した。
X=Clについては、極性結晶構造(C2極性空間群)が得られ、また脂質のキラリティーを反映して、白金イオンを中心にキラルな配位構造が形成されていることを明らかにした。このジクロロメタン分散液はサーモクロミズムを示し、35℃に加熱すると混合原子価吸収に基づく藍色が消失して無色となり、ハロゲン架橋構造が解離して分子的錯体になったことが示された。一方、この分散液を冷却すると、15℃において紺色の分散液となった。加熱前の紫色分散液は単結晶とほぼ同様に、波長577 nm (= 2.15 eV) に吸収ピークを与えた。一方、加熱ー冷却処理後の紺色分散液においては波長580 nmならびに1047 nm (ECT = 1.18 eV) に吸収が観測された。このことは、熱処理によって加熱前とは異なる一次元鎖構造が生じたことを意味する。
電子顕微鏡観察においては、加熱前の錯体はμ結晶であるが、加熱ー冷却処理によりナノファイバー構造に構造変化していることが判った。また、AFM観察より、脂質のキラリティーに依存したナノコイル構造が確認された。驚くべきことに、L体とD体の脂質を1:1で今後した場合、加熱ー冷却後に一次元鎖の再構築が起こらないことが判った。即ち、バンドギャップの縮小したナノワイヤー形成にはホモキラリティーが必須であることが明らかとなった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-16H06513
ID情報
  • 課題番号 : 16H06513
  • 体系的課題番号 : JP16H06513