2010年4月 - 2014年3月
疎水ナノ空間包接場を用いる超分子分離システムの開発
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
-
- (総額)
- 18,070,000円
- (直接経費)
- 0円
- (間接経費)
- 0円
- 資金種別
- 競争的資金
本研究では、昨年度に引き続きγ-シクロデキストリンゲル(γ-CyDGel)中にボロン酸型アゾプローブであるB-Azo-Cnを包接させ、 B-Azo-Cnと糖類との結合体としてゲルの中に吸着させることで溶液中から糖類を選択的に分離する超分子ゲルの開発を行った。グルコーステンプレートゲルはグルコースに対して選択性が出ることを既に報告した。一方、テンプレートなしのゲルではガラクトースに対して高い吸着選択性を示すが、これはB-Azo-C8/CyD複合体とB-Azo-C8/CyD-ガラクトース複合体の結合様式が似ているためと考えられる。バルク中でのB-Azo-C8/CyD複合体のUV-vis, ICD測定により包接状態を調べた結果、糖なしの状態とガラクトースのスペクトルが類似していることが分かった。アルキル鎖が短いB-Azo-C6ではCyDから抜けたプローブのアゾ基の吸収により吸着量が負の値になった。アルキル鎖を伸ばしたB-Azo-C10, B-Azo-C12では、鎖長が長いものほどグルコースの吸着量が増加していた。これはアルキル鎖長の増加に従ってCyDとの疎水性相互作用が強まり、配置を固定しやすくなったためと考えられる。グルコーステンプレートを繰り返し吸脱着した結果、吸着量はグルコースに対して上昇し、ガラクトース、フルクトースに対して減少した。プローブが再配列を行い、よりグルコースに結合しやすい配置になったためと考えられる。またテンプレートなしのゲルでは各糖の吸着量は変化せず自己学習能が発現しなかったことから、自己学習能が発現するためにはテンプレート効果が必要である。またMeOHを用いてゲルから5-7 μmolのB-Azo-C8を抽出できたが、抽出後のゲルは黄色であるため全てのプローブは抽出できずにゲル内部にB-Azo-C8が存在することを確認した。