共同研究・競争的資金等の研究課題

2001年4月 - 2004年3月

『マイクロ波誘起常圧プラズマを用いた燃焼排ガス中の有害物質分解システムの構築』

文部科学省  研究費補助金「基盤研究(B)(2)展開」  基盤研究(B)

課題番号
13555221
体系的課題番号
JP13555221
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

本研究では、下記の項目について検討し、それぞれ次のような成果を得た。
1.液相中でのマイクロ波誘起プラズマの制御と有害有機成分の分解
各種プラズマ誘起体を用い、純水、ジクロロ酢酸(DCAA)およびβ-ナフトール水溶液中でのプラズマの発生特性と有機物の分解特性を調べた。SiC焼結体片とカーボンブロックを水溶液中でのプラズマ誘起体に用いると、誘起体自体が一部分解して多量のCO_2が発生したDCAAの分解では、DCAAの転化率、分解生成物量および誘起体としての経時安定性も考慮すると、La_<0.8>Sr_<0.2>CoO_3が最も優れた誘起体であった。また、β-ナフトールの分解では、FeSiを誘起体に用いると、β-ナフトール転化率は短時間の内に100%に達し、CO_2の発生量が少なく、誘起体自体の結晶構造の変化も無く、水溶液中でのプラズマ誘起体として最も優れていた。
2.多孔質プラズマ誘起体の大気圧の気相中でのN_2プラズマ発生状態の制御とダイオキシン類似化合物の分解特性の向上
各種プラズマ誘起体を用い、ArおよびN_2ガス雰囲気中でのマイクロ波誘起プラズマの発生特性とモノクロロベンゼンの分解特性を調べた。Ar雰囲気中では、全ての誘起体からプラズマが安定に発生した。しかし、用いた誘起体の中では、多孔質SiC焼結体のみ、ArおよびN_2ガス雰囲気中でプラズマを安定に発生でき、モノクロロベンゼンを完全に分解できた。したがって、気相中でのSiCプラズマ誘起体としては、多孔体の形状が最も適していることがわかった。
3.マイクロ波誘起プラズマによるNO_xとディーゼルパティキュレートの同時除去効率の向上
大気圧の0.1%NO-10%O_2-N_2ガス流通下で、ディーゼルパティキュレート(DPM)を担持した多孔質SiC焼結体にマイクロ波を照射してプラズマを発生させ、マイクロ波出力と排ガス中のガス組成およびDPMの酸化挙動との関係を調べた。さらに、その後段に、1.0wt%Ir/TiO_2触媒層を設置した時の、NO_x除去効果も検討した。触媒層直前のガス組成を調べた結果、マイクロ波出力が大きくなるほど、NO_x生成は著しく減少し、逆にCO_2,COおよびH_2の発生量は増加した。また、触媒層通過後にはすべてのマイクロ波出力でNO_xを完全に抑制することができた。なお、実際の処理システムでは、プラズマ誘起体から成るフィルターでDPMをトラップし、その後段のNO_x吸蔵触媒でNO_xを吸着させ、フィルター部に周期的にマイクロ波を照射することによってDPMの酸化とNO_xの低減が可能になると考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-13555221
ID情報
  • 課題番号 : 13555221
  • 体系的課題番号 : JP13555221