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May, 2013

非結核性抗酸菌が形成するバイオフィルムの生態学的特徴

BACTERIAL ADHERENCE & BIOFILM
  • 西内 由紀子
  • ,
  • 戸谷 孝洋
  • ,
  • 立石 善隆
  • ,
  • 松本 壮吉

Volume
26
Number
First page
37
Last page
40
Language
Japanese
Publishing type
Publisher
日本バイオフィルム学会

非結核性抗酸菌は世界中の土壌や水系の環境中にバイオフィルムを形成して広く分布しており、ヒトに日和見感染する。なかでもMycobacterium avium、Mycobacterium intracellulareによる肺感染症は近年世界中で増加している。不思議な事にヒト-ヒト感染の報告はないので環境から生成したエアロゾルを吸入して感染している。私たちはM.avium、M.intracellulareが家庭の浴室に生息しており浴室から感染する危険性を報告してきた。そこで環境中のM.aviumが形成するバイオフィルムの生態が感染性およびエアロゾル形成に関与していると考え、その生態を走査型電子顕微鏡で観察した。本研究では抗酸菌のバイオフィルムの細胞外マトリックスの構成成分として知られているglycopeptidolipidの欠損株を用いて生態を比較した。その結果、M.aviumは膜に覆われたバイオフィルムを構築した。その膜の下に小型の桿菌がぎっしり詰まっていた。その桿菌には細胞間マトリックスがほとんど認められなかった。glycopeptidolipid欠損株には、菌を覆う膜の形成は認められなかった。M.aviumが形成するバイオフィルムの生態学的特徴から、菌体は膜状バイオフィルムに守られて、膜の内側で増殖していることが示唆された。同時に細胞間マトリックスがないので膜の一部が破綻すると内側の菌が個々に飛び出しエアロゾル形成に寄与すると思われる。(著者抄録)

ID information
  • ISSN : 1348-6071
  • Ichushi Web ID : 2014058773

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