MISC

2006年8月

微生物学の進歩 結核菌の潜伏感染と宿主細胞接着・侵入の分子機序 分子標的療法の開発を目指して

日本細菌学雑誌
  • 松本 壮吉

61
3
開始ページ
345
終了ページ
352
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本細菌学会

結核菌は人類の1/3に潜伏感染しており、時に内因性再燃を引きおこす。成人の肺結核の多くがこの機序で発症し、現在、年間約200万人の命が失われている。潜伏感染菌は通常休眠することで、菌と宿主双方の生存を確保し、且つ薬剤抵抗性を獲得する。結核菌はヒトを住処としており、ヒト以外の生物や自然環境下での生存は難しい。したがって潜伏感染菌の根絶は根本的な結核対策となる。潜伏感染菌対策を講じるために休眠機構を解かなければならない。細菌を凍らすように菌の代謝を生理的温度下においていかに抑制するのか?休眠機構は"謎"に包まれていたが、我々は菌の増殖を停止させる分子MDP1を同定した。加えてMDP1が接着分子として菌の潜伏感染細胞への接着/侵入を促すことを明らかにした。MDP1の活性を中心として、接着分子を標的とした新しい治療/予防法開発の可能性を紹介する。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0021-4930
  • 医中誌Web ID : 2007014554

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