2006年 - 2007年
メタボリックシンドロームに及ぼす歯周病の影響についての総合的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
歯周病は生活習慣病の一つとして位置づけられており、近年、メタボリックシンドロームを形成する個々の病態である肥満や糖尿病が歯周病を重症化させるとの報告が散見される。一方、歯周病の存在が動脈硬化を進行させ、心筋梗塞などを惹起すると考えられているが、その機序については不明な点も多い。また、メタボリックシンドロームと歯周病は、血管障害、炎症性因子の関与など共通点が少なからず認められるが、両者の関係を血管機能も含めて検討した報告はない。
そこで、本研究では、メタボリックシンドロームに及ぼす歯周病の影響について総合的な検討を行った。当院歯周病科通院中の患者を対象に、ウエスト周囲径、血圧、空腹時血清脂質、空腹時血糖等、メタボリックシンドロームの診断評価に関する測定を実施し、同時に、口腔内所見や歯周病の評価を行った。さらに、頸動脈エコーにより内膜中膜肥厚度を計測し、また、脈波伝導速度、足関節/上腕血圧比、足趾/上腕血圧比を算出することにより、動脈硬化の状態を判定した。
その結果、メタボリックシンドロームを有する群では、有意に残存歯数が少なく、プロービング時の歯肉出血陽性歯が多いこと、4mm以上の歯周ポケットおよびアタッチメントロス4mm以上が有意に多いことが判明した。また、メタボリックシンドローム構成因子の保有数と歯周病について検討したところ、構成因子数が多くなるほど歯周病の頻度が高くなることが認められた。さらに、歯周病の重症度は動脈硬化の程度と相関していた。本研究により、メタボリックシンドロームが歯周病に深く関わることが明らかとなっただけではなく、歯周病と動脈硬化との密接な関連が示唆された。今後、歯周病治療がメタボリックシンドロームの病態に及ぼす影響について検討を加えていく予定である。
そこで、本研究では、メタボリックシンドロームに及ぼす歯周病の影響について総合的な検討を行った。当院歯周病科通院中の患者を対象に、ウエスト周囲径、血圧、空腹時血清脂質、空腹時血糖等、メタボリックシンドロームの診断評価に関する測定を実施し、同時に、口腔内所見や歯周病の評価を行った。さらに、頸動脈エコーにより内膜中膜肥厚度を計測し、また、脈波伝導速度、足関節/上腕血圧比、足趾/上腕血圧比を算出することにより、動脈硬化の状態を判定した。
その結果、メタボリックシンドロームを有する群では、有意に残存歯数が少なく、プロービング時の歯肉出血陽性歯が多いこと、4mm以上の歯周ポケットおよびアタッチメントロス4mm以上が有意に多いことが判明した。また、メタボリックシンドローム構成因子の保有数と歯周病について検討したところ、構成因子数が多くなるほど歯周病の頻度が高くなることが認められた。さらに、歯周病の重症度は動脈硬化の程度と相関していた。本研究により、メタボリックシンドロームが歯周病に深く関わることが明らかとなっただけではなく、歯周病と動脈硬化との密接な関連が示唆された。今後、歯周病治療がメタボリックシンドロームの病態に及ぼす影響について検討を加えていく予定である。
- ID情報
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- 課題番号 : 18592271
- 体系的課題番号 : JP18592271