論文

筆頭著者
2019年3月

どの学生層で学生生活費収入における奨学金の比重は増加したのか

大学総合教育研究センター ものぐらふ
  • 岩田 弘三

14
開始ページ
85
終了ページ
101
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)

2004~12年度は、学生生活費収入総額が減少するなかで、次の2つの面で、日本学生支援機構奨学金(JASSO奨学金)依存が拡大した時期であった。つまり、①その利用者の比率(受給率)が上昇したのみならず、②その奨学金収入額(貸与額)も増加した時期であった。そこで、この時期において、どの家計所得階層で、いかなる形でJASSO奨学金依存の拡大が行ったのかを、(1)日本学生支援機構『学生生活調査』の公表版集計の時系列データおよび、(2)『学生生活調査』の2006年度と12年度の個票データの比較分析をとおして、明らかにした。そこでは、家庭年間総収入500万円を境にして、それ以下の低所得階層と、それより上の高所得層とでつまり、JASSO奨学金利用の仕方が、家計所得階層で異なっていたことなどを明らかにした。具体的にいえば、高所得層では、JASSO奨学金受給率(利用率)の拡大幅が、相対的に大きかった。それとは逆に、低所得階層では、有額平均でみた場合(つまり、貸与を受けた学生に限ってみた場合)のJASSO奨学金貸与額の増額幅が、相対的に拡大していた。

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