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Jan, 2020

成人院外心停止患者に対する病院前の高度な気道確保 全国救急蘇生統計コホート研究

日本救急医学会雑誌
  • 井澤 純一
  • 小向 翔
  • 宜保 光一郎
  • 大久保 雅史
  • 清原 康介
  • 西山 知佳
  • 木口 雄之
  • 松山 匡
  • 川村 孝
  • 石見 拓
  • Callaway Clifton W.
  • 北村 哲久
  • Display all

Volume
31
Number
1
First page
1
Last page
17
Language
Japanese
Publishing type
Publisher
(一社)日本救急医学会

【目的】院外心停止患者に対する病院前の高度な気道確保は不良な生存・神経学的アウトカムと関連することが、これまでの多くの観察研究で報告されてきた。成人院外心停止患者に対する病院前の高度な気道確保と生存との関連を明らかにすることを目的として本研究を行った。【対象】2014年1月から2016年12月までの本邦の全国救急蘇生統計(ウツタインデータ)を対象に、連続登録された院外心停止成人症例について、心電図の初回記録をもとに「電気ショック適応(心室細動または無脈性心室頻拍)」および「電気ショック非適応(無脈性電気活動または心静止)」の2つのサブコホートに分類した。時間依存性傾向スコアに基づいて同一時点(分)で心肺蘇生時処置として高度な気道確保を受けた患者と高度な気道確保を受けていない患者とを連続的にマッチングさせた。1ヵ月後または1ヵ月以内の退院時の生存割合を主要アウトカムとした。【結果】適格患者310,620名のうち、電気ショック適応群の患者20,516名中8,459名(41.2%)および電気ショック非適応群の患者290,104名中121,890名(42.0%)が心肺蘇生時に高度な気道確保を受けた。時間依存性傾向スコアによる連続マッチングを行った後、電気ショック適応群の患者16,114名および電気ショック非適応群の患者236,042名を同一時点(分)でそれぞれマッチングさせた。電気ショック適応群では、高度な気道確保を受けた患者と受けなかった患者の間で生存割合に差はみられず、それぞれ8,057名中1,546名(19.2%)および8,057名中1,500名(18.6%)であった(調整リスク比1.00、95%信頼区間0.93-1.07)。電気ショック非適応群では、高度な気道確保を受けた患者は受けなかった患者よりも生存割合が高く、それぞれ118,021名中2,696名(2.3%)および118,021名中2,127名(1.8%)であった(調整リスク比1.27、1.20-1.35)。【結論】成人院外心停止患者における時間依存性傾向スコア連続マッチング解析において、電気ショック適応リズムの患者では高度な気道確保と生存に関連がなかったのに対し、電気ショック非適応リズムの患者では高度な気道確保は生存と関連した。(著者抄録)

ID information
  • ISSN : 0915-924X
  • eISSN : 1883-3772
  • Ichushi Web ID : 2020161033

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