MISC

2016年10月

文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム」事業における長崎大学のチーム医療実践教育・臨床実習の充実を図る学部教育の試行的な取り組み(第1報)

理学療法学
  • 平瀬 達哉
  • ,
  • 磯 ふみ子
  • ,
  • 沖田 実
  • ,
  • 東 登志夫
  • ,
  • 田中 悟郎
  • ,
  • 井口 茂

43
Suppl.2
開始ページ
P
終了ページ
ED
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14900/cjpt.2015.1733
出版者・発行元
(公社)日本理学療法士協会

【目的】長崎大学医学部保健学科(本学科)では,平成26年度に文部科学省の「課題解決型高度医療人材養成プログラム」事業に採択され,チーム医療に貢献でき高い指導能力をもった理学療法士と作業療法士を養成することを目的に,「高度リハビリテーション専門職の養成―長崎地域包括ケアシステムを活用したプログラム―」を展開している。本研究では,本事業の概要とチーム医療実践教育・臨床実習の充実を図る学部教育の試行的な取り組みとその効果について報告する。【方法】本学科では,学部教育の「チーム医療実践教育・臨床実習推進プログラム」と,リカレント教育の「高度リハビリテーション専門職養成プログラム」から本事業を構成している。前者の内,チーム医療実践教育は,1~4年次まで段階的に他専攻や他学部との共修科目を配置するとともに,現場経験を暴露するための実習を4年次に設けている。また,臨床実習推進に関しては,実習指導者を非常勤講師に任用し実習前教育の充実を図るとともに,臨床実習後の学内セミナーに実習指導者も参加し,実習指導者-学生-教員の相互連携の充実を図る取り組みを試行的に行っている。後者は,臨床指導者養成教育コースと地域包括ケア人材養成コースを配置し,いずれもe-learningによる遠隔講義や集中講義ならびに実習演習から構成されたプログラムを平成28年度から開始する予定である。本研究では,本学科1年次106名(看護,理学・作業療法学専攻)を対象とした医学科との共修科目の授業前後アンケート結果からチーム医療実践教育の効果を検討し,本学科理学療法学専攻4年次18名を対象とした臨床実習後学内セミナーに参加した実習指導者のコメントから臨床実習推進に向けた試行的な取り組みの効果を検討した。【結果】共修科目の学生授業アンケート結果では,「チームアプローチにおける他職種の役割を学ぶ必要性がある」という問いに対し,「強くそう思う」と回答した学生は授業前62名(58.5%)であったが,授業後90名(84.9%)に増加していた。また,授業後では「学ぶ必要性がある職種」について記載した職種の数が増加していた。次に,臨床実習後学内セミナーに参加した実習指導者は,総合臨床実習IIでは18施設中9施設11名で,総合臨床実習IIIでは18施設中4施設6名であった。そのコメントは,「学内での指導内容を知る貴重な機会となった」「他施設の指導内容や取り組みは参考になった」等の良好なコメントが多かったが,「参加している実習指導者が少ない」等の意見もあった。【結論】本学科のチーム医療実践教育・臨床実習の充実を図る学部教育は,一定の効果を認めていることが示唆されたが,臨床実習推進に関しては試行的な取り組みであり,密な相互連携が図れる実習指導者は限られているのが現状である。今後は,この課題を含めた臨床実習のあり方やアウトカムを明確化した学部教育の効果について検証する必要がある。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14900/cjpt.2015.1733
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005418772
ID情報
  • DOI : 10.14900/cjpt.2015.1733
  • ISSN : 0289-3770
  • 医中誌Web ID : 2018150378
  • CiNii Articles ID : 130005418772

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