共働き夫婦や一人親家庭の増加など家族の多様化が日本よりも早く始まった欧米では、Kahnらにより仕事役割と家庭役割とが相互にぶつかり合うことから発生する役割葛藤として「ワーク・ファミリー・コンフリクト(以下WFC)」の概念が提唱された。今回、A県内の公立病院3施設に勤務する28〜45歳の女性看護師206名(未婚者90名、既婚者116名)に質問紙調査を行い、WFCと職務意識との関係、離職意識と職務満足度・WFCとの関係などについて検討した。結果、家庭が原因で仕事に支障をきたしていると感じる気持ちが強い人ほど看護業務や看護師間の人間関係に関する満足度が低かった。未婚者では離職意識と職務満足度との間に有意な相関が認められ、既婚者では有意な相関は認められなかった。既婚者では家庭から仕事方向のコンフリクトが離職意識に影響を及ぼしていた。