2003年
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)ー麻疹ウイルスの変異と神経病原性ー
ウイルス
- ,
- 巻
- 53
- 号
- 1
- 開始ページ
- 15
- 終了ページ
- 23
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
- DOI
- 10.2222/jsv.53.15
- 出版者・発行元
- 日本ウイルス学会
亜急性硬化性全脳炎 (Subacute sclerosing panencephalitis; SSPE) は麻疹ウイルスによって引き起こされる小児の予後不良の疾患である. SSPE患者から分離される麻疹ウイルス (SSPE分離株) は, 麻疹患者から分離されるウイルスとは異なる性質を有している. SSPE分離株のM蛋白やF蛋白の構造的・機能的変化が普遍的に認められ, 遊離ウイルスを産生できないなどの欠損性に寄与していると考えられる. 一方, H蛋白はある程度本来の構造が保たれているが, CD46あるいはSLAM以外のレセプターを介して脳内で感染を拡大している可能性が考えられる. 今後, SSPE分離株に特徴的な遺伝子を組換えた麻疹ウイルスを作成し, それぞれの遺伝子の変異と神経病原性との関係を明らかにすることにより, SSPEの発病病理を理解できるようになると思われる.
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.2222/jsv.53.15
- ISSN : 0042-6857
- CiNii Articles ID : 130003708169