2006年 - 2007年
MEL1-EVI1 遺伝子群による白血病発症機構の検討
独立行政法人 日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
EVI1 高発現白血病細胞では,EVI1 がアセチル化され,GATA2 遺伝子を転写活性化することが示唆された。一方,EVI1 と同じ,PR ドメインを欠く MEL1S を異所性発現させた白血病細胞で顆粒球分化が阻止された (Nishikata I et al, Blood, 2003) が,アレイ発現及び RT-PCR 解析の結果や HDAC 阻害剤トリコスタチン A の添加により分化阻害が解除されたことから,MEL1S が GATA2 遺伝子の転写抑制に働くことが示唆された。現在,白血病発症において,同一の遺伝子群に属しながら,相反する機能を発揮することが示唆された両遺伝子について,説明可能な発症機構を研究している。そのうち,MEL1S 分子上の極近傍に存在する SUMO 化および CtBP 結合モチーフが働き,MEL1S の SUMO 化修飾および MEL1S と CtBP との結合が起こり,この2つの機構を介して,脱アセチル化酵素 HDAC を標的遺伝子にリクルート,転写抑制活性を示すことにより,分化誘導阻止能を表すことが強く示唆された。(Nishikata I et al, Oncogene, 2011)
- ID情報
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- 課題番号 : 18591075
- 体系的課題番号 : JP18591075