共同研究・競争的資金等の研究課題

2000年 - 2001年

高温の温度履歴を受ける岩石の力学特性に関する基礎的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業  奨励研究(A)

課題番号
12750451
体系的課題番号
JP12750451
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
700,000円
(直接経費)
700,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

1.高圧下で温度履歴を受けた岩石の力学特性高温高圧三軸セルを用いて岩石試料に温度履歴を与えた.パラメータは拘束圧,履歴回数,含水状態とした.その後,雰囲気温度をパラメータとして強度試験を行った.その結果,岩石の含水状態に関わらず,拘束圧が大きい方が温度履歴の影響が小さいことがわかった.すなわち,履歴に伴い,強度・変形定数は小さくなる傾向があるが,低下の割合が小さくなる.2.温度履歴を受ける岩石のX線解析結果温度履歴を受けている状態での岩石のX線解析を行い,結晶構造など微視的立場より観察した.その結果温度上昇,温度降下に伴い,各構成鉱物粒子の結晶軸は膨張,収縮するが,温度履歴を受けて初期温度になった状態では残留ひずみは見られなかった.このことより,温度履歴により強度・変形定数が低下するのは,結晶軸の変化ではなく,鉱物粒子間あるいは鉱物粒子内部でも結晶同士の結合が弱い箇所に発生するマイクロクラックが原因であることが推察された.昨年度の成果である,マイクロクラックの状態観察と合わせて,温度履歴の影響のメカニズム解明に関する成果の一つと考えられる.昨年度および本年度の成果は以下のようである.岩石が高温の温度履歴を受けると各鉱物粒子の熱膨張・収縮量の違いにより,鉱物粒子内および粒子間にマイクロクラックが発生・拡大し,強度,弾性係数,ポアソン比などが低下するが,履歴温度の範囲が一定であればマイクロクラックの増加・拡大は一定量で収束し,そのため強度などはある値で収束するものと考えられる.また,斑状組織である安山岩や同一鉱物,同一粒径で構成される砂岩などは温度履歴の影響は受けにくい.比較的大きな数種類の鉱物結晶で構成される花崗岩や鉱物粒子の結合力の弱い凝灰岩は温度履歴の影響を比較的受ける.また,拘束圧の影響も大きい.温度履歴によって結晶単位では影響は受けにくい.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-12750451
URL
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/12750451.ja.html
ID情報
  • 課題番号 : 12750451
  • 体系的課題番号 : JP12750451