2009年2月
山口県萩地方に見られる石組「懸石」の構成手法と造園的意味(共著)
日本造園学会 造園技術報告集
- ,
- 巻
- 号
- 5
- 開始ページ
- 126
- 終了ページ
- 129
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
萩市を中心とした地域に懸石がどの程度存在しているかを調査した結果、山口県内には23庭園に32組の懸石と思われる石組が確認された。石組手法としての懸石の特徴としては、一石がもう一石または二石に懸かるように組まれるものが多く、他の石に付帯して組まれる変形や石組中央部にトンネル状の空間を有していることが共通として見られた。また天端が水平、二石組はL字型の石材が多く使われていた。庭園の作庭時期からみた懸石の出現時期は、少なくとも江戸末期には出現していたと推定することが現状では妥当と考えられるが、懸石が後代に追加されている事例も少なくないと考えられる。懸石のモチーフは、日本海に浮かぶ島々や沿岸の海食洞両者の構成に極めて良く似ており、懸石は、自然の造形美を日本古来の石組表現で縮景的に示したものとも考えられた。