共同研究・競争的資金等の研究課題

1999年 - 2001年

軌道の秩序と揺らぎによる格子異常・超音波による研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特定領域研究(B)  特定領域研究(B)

課題番号
11220205
体系的課題番号
JP11220205
配分額
(総額)
42,700,000円
(直接経費)
42,700,000円

本研究班は格子歪みが軌道自由度系の四重極子と結合することを積極的に利用し、超音波による軌道秩序と揺らぎの研究を行なった。
極低温超音波計測によって、Ce_xLa_<1-x>B_6の磁気相図を確立した。x=0.75ではIV相から磁気秩序III相への転移が見られるが、x=0.70、x=0.65ではIV相がT=0Kまで安定である。弾性定数C_<44>の極低温測定によるとx=0.70、x=0.65の低温極限は一致しているが、x=0.60、x=0.50では違った極限となっている。中村らの比熱の結果と照らし合わせて、x=0.60、x=0.50では秩序相は出現せず非磁性状態となると結論した。x=0.75とx=0.70のIV相の熱膨張実験を行い、[001]方向では膨張し[111]方向では収縮することを見いだした。これはIV相で三方晶系に歪んでいることを示しており、O_<yz>=O_<zx>=O_<xy>≠0の強四重極子転移を示唆している。HoB_6の強四重極子転移でも三方晶系への歪みを観測し、Ce_xLa_<1-x>B_6のIV相の理解を大いに助けた。
HoB_2C_2では横波超音波(C_<11>-C_<12>/2,C_<44>,C_<66>にソフト化が見られE2重項とAもしくはB1重項が偶然縮退をした3重項模型がよいことを示した。巨大磁気抵抗を示すLa_xSr_<1-x>MhO_3、Pr_xCa_<1-x>MnO_3の軌道秩序に関しても研究が進展した。これらの系では軌道秩序直上で共通して(C_<11>-C_<12>/2にソフト化が見られた。Mn^<3+>のEg軌道の四重極子O^0_2,O^2_2とのJan-Teller結合が重要であり、その大きさは10〜100Kであり、Millsの理論予想よりもはるかに小さいことがわかった。また、電荷揺らぎによるソフト化を見いだし、Pr_xCa_<1-x>MnO_3(x=0.50)の電荷秩序ではランダウ相転移に基づく解析に成功した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-11220205
ID情報
  • 課題番号 : 11220205
  • 体系的課題番号 : JP11220205