2014年8月
歯科矯正用アンカースクリューを用いて下顎前歯の圧下により過蓋咬合を治療したAngle II級成人症例
中・四国矯正歯科学会雑誌
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- 巻
- 26
- 号
- 1
- 開始ページ
- 41
- 終了ページ
- 48
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 中・四国矯正歯科学会
患者は初診時年齢37歳9ヵ月の女性で、口唇の突出感を主訴に岡山大学病院矯正歯科を受診した。側貌はConvex typeで、下顎の後退感、上下口唇の突出、口唇閉鎖時のオトガイ部の筋緊張および口唇閉鎖不全を認めた。口腔内はAngle II級であり、オーバージェットが大きかった。また、下顎前歯が挺出しており、過大なSpee彎曲を認め、過蓋咬合を呈していた。さらに、上顎前歯は舌側傾斜し、下顎歯列に叢生を認めた。骨格的には骨格性II級、high mandibular plane angleであった。分析の結果、上顎前歯の舌側傾斜を伴う下顎骨の後退による骨格性II級、Angle II級、high mandibular plane angle、過蓋咬合症例と診断した。上下顎両側第一小臼歯の抜歯を伴うカモフラージュ治療を行うことになったが、過蓋咬合を治療する従来のメカニクスでは、小臼歯の挺出に伴う下顎下縁平面のさらなる開大が危惧された。そのため、下顎前歯圧下のための固定源として、下顎両側側切歯・犬歯間頬側歯槽部の歯科矯正用アンカースクリューを利用した。また、上顎前歯を舌側へ歯体移動させるための固定源として、上顎両側第一大臼歯・第二大臼歯間および上顎両側側切歯・犬歯間頬側歯槽部の歯科矯正用アンカースクリューを利用した。治療の結果、下顎の時計回りの回転を起こさずに下顎前歯は圧下、上顎前歯はほぼ舌側へ歯体移動し、良好な咬合関係を確立できた。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0915-7581
- 医中誌Web ID : 2015238262