共同研究・競争的資金等の研究課題

1994年 - 1995年

骨基質タンパクの破骨細胞形成に与える影響について

日本学術振興会  科学研究費助成事業 一般研究(B)  一般研究(B)
  • 日浦 賢治
  • ,
  • 河田 照茂
  • ,
  • 田上 佳保里
  • ,
  • 上岡 寛
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  • 住谷 光治
  • ,
  • 日浦 賢治

課題番号
06454584
体系的課題番号
JP06454584
配分額
(総額)
800,000円
(直接経費)
800,000円

破骨細胞形成に及ぼす骨基質(骨粉)の影響について、ラット長管骨から単離した骨髄細胞を使って検討した。全骨髄細胞を48穴プラスチックマイクロプレート中で4日間培養すると、破骨細胞のマーカー酵素であるTRAP陽性の多核細胞が形成された。さらに培養開始2日後より[^3H]-プロリンで標識した骨粉(100μg/cm^2:20-53μm)を添加すると、多核細胞の形成が50%促進した。この時の培養液中の放射活性が約30倍増加していたことから、TRAP陽性の多核細胞は破骨細胞であると考えられた。この結果から、骨基質中に破骨細胞形成促進因子が存在することが示唆された。
次に骨粉添加が、破骨細胞内での情報伝達系(特にチロシンのリン酸化)におよぼす影響について検討した。2週間低カルシュウム食で飼育したニワトリ長管骨より、Hiuraらの方法に従い単球を単離し、6穴プラスチックプレート中で培養を開始した。4日後、骨粉(20-53μm)を添加しCell Lysateを通法に従い作製した。チロシンのリン酸化についてウエスタンブロット法により解析すると、骨粉添加群において明らかに促進された200kDa,130kDa,および85kDaのバンドが検出された。さらにリン酸化は、骨粉添加10分後に最大を示した。そこで、骨粉添加によりリン酸化されたタンパク質が、テンシン、FAK、コルタクチンである可能性について、免疫沈降法とウエスタンブロット法を用いて検討した。集められたテンシンとFAKには、チロシンのリン酸化は検出されなかったが、免疫沈降しなかったサンプルにおいて、200kDaと130kDaにリン酸化のシグナルが検出された。しかし、免疫沈降法により集められたコルタクチンはリン酸化していたことから、骨基質添加によって起こる破骨細胞の形態変化(波状縁形成)に、コルタクチンのチロシンリン酸化は関与しているが、テンシンとFAKは係わっていないことが示唆された。
また、骨基質中に多数含まれる骨細胞のカルシウムに対する応答とメカニズムについて調べたところ、細胞外液のカルシウム濃度に依存して細胞内カルシウムの上昇がみられた。さらに、この現象はカルシウム感受性レセプターによることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-06454584
ID情報
  • 課題番号 : 06454584
  • 体系的課題番号 : JP06454584