共同研究・競争的資金等の研究課題

白血病細胞における細胞骨格・転写・細胞周期の制御異常


配分額
(総額)
62,200,000円
(直接経費)
0円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

t(8;21)転座、inv(16)逆位はそれぞれ、Runx1-MTG8及びPEBP2beta-SMMHCキメラ遺伝子を生成する。AMLとしては各々、M2及びM4サブタイプの形態学的表現型を示す。上記の2つ、及びその他の染色体異常を伴うAML、合計54症例を用いて遺伝子発現プロファイリングを実施した。コントロールを適切に取ることにより、lineage/stageに依存せずに発現変動を示すと考えられる遺伝子群を抽出した。t(8;21)とinv(16)に共通して発現上昇する遺伝子群も存在したが、t(8;21)特異的に又はinv(16)特異的に発現上昇する遺伝子群も検出することができた。2つのキメラ蛋白は、正常のRunx1/PEBP2beta転写因子機能に対してドミナント・ネガティブに作用することが知られているが、それのみによって2つの型の白血病細胞における遺伝子発現パタンを説明できるものではないことが示唆された。WT1の4種類のアイソフォームおよびDSRCT (desmoplastic small round cell tumor)の発症に関わるとされるEWS-WT1キメラがん遺伝子の発現細胞からRNAを調製し、20,000遺伝子を網羅するマイクロアレイを用いて発現プロファイルを作成した。これにより、WT1のアイソフォームとEWS-WT1の各々に特異的に誘導される遺伝子群を同定した。EWS-WT1発現細胞では、血管新生抑制因子BAI-1と接着と運動にかかわるTALLA-1に着目して解析を進めた。Jurkat細胞において、抗TALLA1抗体は細胞どうしの接着性を著しく促進させること、抗CD3抗体と協調的にERKのリン酸化を促進することを示した