共同研究・競争的資金等の研究課題

2023年4月 - 2026年3月

韓国における対日政策転換をめぐる国内政治-歴史認識と分極化・党派対立を軸に

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
23K01259
体系的番号
JP23K01259
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

本研究は、韓国の尹錫悦政権で推進されている対日政策の転換を題材にし、対日政策を規定する国内要因を解明することにある。2022年に発足した尹政権は、前政権で悪化した日韓関係を改善するため大胆な政策転換を行ったが、大統領の支持率の低さもあって先行きは不透明である。先行研究では、日韓関係悪化の要因として「記憶」や歴史認識にもとづく韓国の対日感情をあげるものが多いが、必ずしも実証的に検討されていない。他方で、近年は韓国内の党派対立において外交安保政策が争点化して研究もなされているが、対象は対米・対北朝鮮政策で対日関係に関する研究は遅れている。本研究では、尹政権による対日政策転換と2024年4月に予定されている総選挙に着目し、政策転換をめぐる党派対立が選挙過程で問題をどう争点化するか、党派対立のもとで有権者の認識がどう刺激されてどんな政治選好を形成し、選挙後の政策遂行・修正にいかに影響を与えるかという観点で研究を進める。
初年度である2023年度は、尹政権による対外政策転換が進行している過程であった。それゆえ、第一には、尹政権による対日政策の正当性アピールや与野党の対応・世論の反応に関する資料を収集し分析した。新しい対日政策の正当化は政権が提示する歴史認識、すなわち植民地支配や脱植民地化・建国に至る過程をどう捉え、現政権を位置づけているのかという点と関連している。研究成果の一部は、建国期および初段大統領の李承晩に対する評価を論じた論文で、尹政権の歴史認識として提示した内容に反映されている。
第二に、2024年4月総選挙時に実施するオンライン調査の設計のため、選挙争点や対日認識を分析するポイントを絞る準備を進めた。現地での資料収集や専門家への意見聴取を行い、尹政権の対日政策に対する韓国内の評価や、選挙過程において党派対立がいかに発現すると予想されるかなど調査を進めた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-23K01259
ID情報
  • 課題番号 : 23K01259
  • 体系的番号 : JP23K01259