共同研究・競争的資金等の研究課題

2001年 - 2003年

宇宙論における人間原理に関する自然哲学的研究

文部科学省・日本学術振興会  科学研究費補助金 基盤研究(B)  基盤研究(B)
  • 横山 輝雄

課題番号
13480002
体系的課題番号
JP13480002
資金種別
競争的資金

1.「人間原理」をめぐる問題は、古代から存在していたことをギリシャ哲学にさかのぼって明らかにし、その言葉を用いないものを含めれば、問題は古代から存在していることを確認した。現在の問題状況は、直接には宇宙物理学における議論を出発点にもち、その後哲学者が議論するようになってきた経緯を論点整理とともに明らかにした。
2.「人間原理」は、「コペルニクス原理」ないし「宇宙原理」と対置されるものであるが、「弱い人間原理」は科学一般の方法を適用したものであり、単なる「選択原理」と同等であり、「人間」とか「観測」といった言葉は誤解を生む可能性があることを明らかにした。哲学的にみて重要なのは「強い人間原理」であり、それがいかなる意味で目的論的説明であるのか(あるいはないのか)を明らかにした。
3.人間原理が、宇宙の究極目的、字宙の終焉、地球外生命、進化論と生命の起源などの問題とどう結びついているのかを明らかにした。自然選択説の意義についても検討した。
4.観測選択効果、終末論法などの問題と人間原理の論理的関係を明らかにした。
5.人間原理が、宗教や倫理の問題とどう関連しているかを検討し、人間原理は人格神ではなく、伝統的に自然神学で想定されていたような、創造論あるいはデザイン論での神を問題としており、それは「哲学者の神」であることを明らかにした。しかし、そうした「神」は自然科学的な議論の必然的帰結ではなく、科学とは別次元の哲学的な議論の水準のものである。それはキリスト教の神の問題だけでなく、一般に霊魂(の不滅)の問題、あるいは仏教の輪廻思想の問題などとも関連していることを明らかにした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-13480002
ID情報
  • 課題番号 : 13480002
  • 体系的課題番号 : JP13480002