2015年3月
戦後特殊教育の再建と再編成における分離問題と設置責任主体に関する検討-昭和20年代を中心に-
障害科学研究
- 巻
- 39
- 号
- 開始ページ
- 1
- 終了ページ
- 16
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- 障害科学学会
本論文の目的は、通常教育との分離的関係および特殊教育の県と市による分担責任について、戦後の特殊教育振興期の始期(昭和20年代中心)に焦点を当て、戦後の特殊教育を牽引した日本教職員組合、精神薄弱者育成会、文部省、占領軍特殊教育担当者がどのように考えていたのかを明らかにすることである。盲教育・聾教育では義務制の拡大と県立盲学校・聾学校への就学率の向上、養護学校系教育では義務制実現までの経過的措置として市立小学校・中学校特殊学級における教育が、教員組合および文部省ともに目ざすなかで、通常教育との分離や県と市の分担については、とくに問題にならなかった。その一方で占領軍は、市立小学校・中学校特殊学級での特殊教育を重視した。それは、地方コミュニティが特殊教育に責任を持つという考え方やアメリカでの特殊教育の動向を反映したことによるが、アメリカ民主制を日本に定着させようとする政治的意図もあったと考えられる。
- リンク情報
- ID情報
-
- ISSN : 1881-5812
- CiNii Articles ID : 110009942868
- CiNii Books ID : AA12215065