2009年3月
19世紀末アメリカ中西部公立通学制聾学校における口話法イニシアティブとその背景
障害科学研究
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- 巻
- 33
- 号
- 開始ページ
- 25
- 終了ページ
- 43
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- 障害科学学会
19世紀末の中西部公立通学制聾学校の創設と展開における口話法主導への転換の背景とその教育的・社会的意義を検討した。口話法への転換は、聾教育における全国的な口話法の進展や寄宿制聾唖学校の教育・管理問題を背景としつつ、コミュニティと同一のコミュニケーション手段とカリキュラムによる聴者社会への参加、コミュニティにおける障害児の有用化、州における倹約、家庭教育の重視といった教育委員会、親、コミュニティの有力者の受容しやすい趣旨を備え、単なる指導法の改善を超越することによって成立した。元来、学業・行動・健康の正常基準で成立している公立学校制度において、口話法はそれらの正常性への近似を提起することでアピールしたし、中産層以上の聴者の親の理解を得ることによる就学率の向上は、混乱と発展の狭間で善良な市民の育成を志向する当時のコミュニティの意向に沿うものであった。このような口話法による通学制聾唖学校の改革は、19世紀末の他の障害種の特殊学級成立の基盤を形成した。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 1881-5812
- CiNii Articles ID : 110009624494
- CiNii Books ID : AA12215065