2020年4月 - 2023年3月
疾患画像生成モデルに基づく新たな特発性間質性肺炎診断支援技術の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
肺疾患のひとつである間質性肺炎には100種類以上の原因の異なるものが含まれるが、その中でも原因不明の特発性間質性肺炎は国の難病にも指定されている。特発性間質性肺炎にもいくつかの病型が存在し、それぞれ適切な治療法が異なるため、早期かつ正確に診断を行う必要がある。診断にはCT検査や肺生検による病理検査が行われるが、鑑別には豊富な経験を要し、正確に診断できる医師は国内でも限られているのが現状である。ここで、もし人工知能等の自動解析技術により正確に病変が解析できれば、より正確かつ迅速に安定した診断が可能となる。そこで本研究では特発性間質性肺炎の診断を支援するため、健常あるいは高有病率疾患の膨大なデータを、希少な特発性間質性肺炎のデータに変換する技術を開発し、得られた画像を用いて特発性間質性肺炎の有無、病型、重症度、治療効果、予後など診断に有用な情報を得る手法を開発することを目的としている。2020年度は特発性間質性肺炎患者や、多有病率疾患患者のCT画像データを入手し、データベースの構築を進めた。そして特発性間質性肺炎の病巣の領域を抽出し、特発性間質性肺炎の病型(IPF、非IPF)を分類する人工知能技術を開発し、70%の鑑別成果移動を得た。2021年度は病理画像の処理に注目し、2020年度に構築したCT画像データベースと同一患者の病理標本を入手し、ホールスライドスキャナにてデジタル化を進めた。さらに標本内の肺炎領域を病理医によって抽出する作業を行い、人工知能による学習処理を行うための準備を行なった。研究成果発表として、2020年度に検討したCT画像による特発性間質性肺炎の鑑別診断に関する原著論文が医用画像情報学会に掲載された。また、北米放射線学会や国内学会にて同内容の報告を行なった。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K08060
- 体系的課題番号 : JP20K08060