論文

2020年9月

化管法対象物質とその分解生成物の河川水中での存在状況

環境科学会誌
  • 亀屋 隆志
  • ,
  • 岡田 美代子
  • ,
  • 鈴木 拓万
  • ,
  • 三保 紗織
  • ,
  • 高梨 啓和

33
5
開始ページ
103
終了ページ
113
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.11353/sesj.33.103
出版者・発行元
社団法人 環境科学会

<p>多種多様な化学物質の環境リスクを最小化するため,水質汚濁防止法や大気汚染防止法では対象となっていない未規制物質についてもリスク評価が行われている。しかし,排出された化学物質の環境中での光分解や加水分解などの動態は必ずしも十分には把握されておらず,ライフサイクルを通じた化学物質の包括的管理を進める上での課題となっている。本研究では,化管法対象物質のうち,半揮発性の工業化学品を対象に,光分解・加水分解による分解生成物を分解試験と文献調査により探索し,同時分析可能な化管法対象物質とその分解生成物のリストを作成して,実際の河川水のモニタリング調査を実施した。147物質を対象として行った光分解・加水分解スクリーニング試験の結果から,分解率80%以上の物質数は,ヘキサン中暗所で0物質,ヘキサン中明所で89物質,水中暗所で6物質,水中明所で55物質であり,そのほとんどは光分解によるものと考えられた。国内の主要な情報源の文献調査により,調査対象300物質のうち84物質が分解性あり,32物質が分解性なしであり,環境中での分解性に関する公開情報が得られない化管法対象物質が多数存在した。化管法対象物質55種とその分解生成物105物質について,GC-MSおよびLC-MS/MSによる同時分析方法を確立し,河川73地点から138試料を採水してモニタリング調査を実施した。河川水中には,排出された物質だけでなく,分解生成物が同程度のモル濃度比で同時に検出される場合や分解生成物のみが検出される場合も相当数あることを確認でき,分解生成物を含めた包括的なモニタリングと有害性情報の整備が急務であると考えられた。</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11353/sesj.33.103
URL
https://ci.nii.ac.jp/naid/130007919231
ID情報
  • DOI : 10.11353/sesj.33.103
  • ISSN : 0915-0048
  • eISSN : 1884-5029

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