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2019年6月

結腸右半切除後の難治性縫合不全に対してOver-The-Scope Clip(OTSC) systemで瘻孔閉鎖し得た2例

日本大腸肛門病学会雑誌
  • 浅野 栄介
  • ,
  • 隈元 謙介
  • ,
  • 臼杵 尚志
  • ,
  • 鈴木 康之

72
6
開始ページ
415
終了ページ
419
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本大腸肛門病学会

結腸切除後の縫合不全は重篤な術後合併症の1つであり、治療はドレナージが主体であるが、その後の治癒遅延で難渋することもある。今回われわれは、結腸右半切除後の縫合不全に対して、Over-The-Scope-Clip system(以下、OTSCと略記)により瘻孔閉鎖し得た2例を報告する。症例1は、反復する大腸憩室出血に対して、緊急手術で腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した。縫合不全に起因する吻合部皮膚瘻を形成し、ドレナージを行っていたが、改善しなかったため、術後112日目にOTSCによる瘻孔閉鎖を行った。その後2年、再燃なく経過している。症例2は、上行結腸癌、転移性肝腫瘍に対して、結腸右半切除術および肝部分切除を施行した。術後、遅発性縫合不全による腹腔内膿瘍に対しドレナージを施行したが、瘻孔閉鎖に至らず、術後102日目にOTSCによる瘻孔閉鎖を行った。その後6ヵ月、再燃なく経過している。大腸切除後の縫合不全に対して、OTSCによる瘻孔閉鎖は、有用な治療法の1つとなり得ると考えられた。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0047-1801
  • 医中誌Web ID : 2019347560

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