共同研究・競争的資金等の研究課題

1997年 - 1998年

共分散構造モデルを用いた疫学危険度評価の試み

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
09470119
体系的課題番号
JP09470119
配分額
(総額)
3,500,000円
(直接経費)
3,500,000円

一次予防医学活動が重要視されるに従い、リスクアセスメント作業の必要性が認識されてきている。リスクアセスメント作業には、大規模データベースから疫学危険度として知識獲得を行うことになる。従来は、統計手法により知識獲得を行うことが多かったが、線形処理を行うモデルが主体であり、ヒトの生体反応としての非線形現象に十分対応しているとはいえない。本研究は、a prioriの知識をモデルに導入することができる共分散構造モデルの有用性を検討しようとすることを主目的とした。昨年度は、共分散構造モデルの特性を理解することを目的に、因果関係を設定した人工的なデータを用いて共分散構造モデルを応用した。今年度は、昨年の実績をもとに、実データとして「富山スタディ」から3歳から小学入学時点までの肥満の発生に関連する要因を解明する目的に共分散構造モデルを応用した。その特性を比較することから、「多重ロジスティック」、「ニューラルネットワーク」による解析を行った。共分散構造モデルは、従来の多変量解析で取り扱うモデルにおける単純な変数問の関係を拡張して、観測されない概念的な変数を取り入れたモデルを構築することが可能になったことが特徴である。このため、類似した傾向を持つ変数をまとめることができ、多くの変数問の関係を直接扱うよりも効率が良いことが考えられる。今回は、24の観測変数と5つの潜在変数(概念変数)を用いて最適なモデルを試みた。モデルの適合性は、GFl(Goodness of Fit index)、AGFl(Adjusted GFI)、AIC(Akaike 's information criterion)を指標とした。観測変数を概念変数の結果として扱った場合、概念変数の原因側として扱う場合に比べ、GFIが高いもののAGFIは低く、モデルとしての不安定性を示していた。モデルの解釈において、一つの変数が強く関係する際に認められる場合、次に候補となる変数の傾きが予想されたものと逆になる現象がしばしば認められた。また、抽出されたモデルを予測モデルとして用いる場合には、多重ロジスティック回帰、ニューラルネットワークとは異なり、予測値算出のアルゴリズムを新たに開発する必要性を認めた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-09470119
ID情報
  • 課題番号 : 09470119
  • 体系的課題番号 : JP09470119