共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

顎骨間葉系幹細胞を用いた再生医療実現のための基盤研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H03881
配分額
(総額)
17,680,000円
(直接経費)
13,600,000円
(間接経費)
4,080,000円

顎骨骨髄中に存在する間葉系幹細胞(MBMSC)は高い骨分化能を有し、顎骨増生療法に有望なセルソースであると考えられる。一方でMBMSCの骨増生能には個体差が大きく、移植による骨増生効果を一定に保つことが困難であるため、細胞移植前に骨増生能のポテンシャルを予見することが重要である。しかし現時点で細胞移植前に骨増生能を事前に評価する技術は確立されていない。そこで、本研究では、MBMSCの生体内での骨形成能を事前に予測しうる分子マーカーの探索を実施した。7名の患者より採取したMBMSCを準備し、免疫不全マウスの頭頂骨部へ移植をおこない、in vivoでの骨増生効果について評価をおこなった。また、移植した7株のMBMSCにおいて培養上清中に分泌される因子について、プロテインアレイ法、ELISA法により網羅的解析をおこなった結果、in vivoで骨増生効果が低いMBMSC群において、キチナーゼ-3様タンパク質1(CHI3-L1)が高骨増生効果を示すMBMSCに比べ高発現していることが見出された。また、CHI3-L1の機能について評価をおこなったところ、CHI3-L1は血管内皮細胞の遊走促進、および線維芽細胞の細胞増殖と遊走促進作用を示すことが明らかとなった。さらに、CHI3-L1高発現(低骨増生)MBMSCを移植群では、移植部位に繊維組織が多いことが判明した。以上のことから、MBMSCからのCHI3-L1分泌レベルがin vivoでの骨形成能力の予測可能なマーカーとして使用できることが見出された。
また、当該年度は、抗菌性ペプチドLL-37の新規作用としてリンパ管新生促進作用を見出し、植物由来成分による間葉系幹細胞の分化制御作用、およびリンパ管新生促進作用についても明らかにした。

ID情報
  • 課題番号 : 20H03881