共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

高齢ドナー由来間葉系幹細胞を用いた骨増生時における細菌由来因子影響の解析研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K10251
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究は、実験動物を用いて高齢ドナーの顎骨MSC(間葉系幹細胞)の特徴を解析し、組織再生への免疫応答を介した口腔内細菌の影響への関与を解明する研究である。これまでに、10週と78-80週齢雄性マウスから顎骨・長管骨由来MSC採取に成功したが、長管骨から採取した細胞には骨細胞が多く混入することが問題となっていた。今回は採取方法も見直し、顎骨細胞と同様のプロトコールで細胞を採取した細胞に変更して研究を進めた。
78-80週齢マウス由来MSC(OMSC)と10週齢マウス由来MSC(YMSC)を比較し、同じ動物から採取した長管骨由来MSCとも比較した。誘導による骨分化は顎骨YMSC・OMSCは長管骨由来細胞と比較すると骨分化は亢進していたが、加齢により分化は顎骨由来細胞と大腿骨由来細胞はともに抑制されており、顎骨OMSCは顎骨YMSCよりも、大腿骨OMSCは大腿骨YMSCよりも亢進傾向分化は抑制されていた。一方、脂肪分化については全体的に顎骨由来細胞は大腿骨由来細胞より抑制されていたが、加齢による変化は顎骨と大腿骨で異なる傾向を示した。大腿骨OMSCの脂肪分化は大腿骨YMSCとは変わらなかったが、顎骨OMSCの脂肪分化は顎骨YMSCよりも亢進傾向を示し、顎骨YMSCには殆ど脂肪滴が認められないにもかかわらず、顎骨OMSCでは脂肪滴が確認できた。さらに、SASP因子についてリアルタイムPCR法で解析したところ、顎骨由来細胞と大腿骨由来細胞では、加齢によって遺伝子レベルでも異なる変化が認められた。
以上より顎骨由来OMSCは、個体老化により細胞の性質が大腿骨由来細胞とは異なることが示唆された。

ID情報
  • 課題番号 : 19K10251