共同研究・競争的資金等の研究課題

2004年 - 2005年

光照射プロセスによる機能性ナノハイブリッドの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究
  • 菊田 浩一
  • ,
  • 山口 十志明

課題番号
16655088
配分額
(総額)
3,100,000円
(直接経費)
3,100,000円

昨年度は、鉄を含有する有機金属化合物をシリカからなるメソポーラス材料中に析出させ、これに紫外線照射を行うことによって、シリカ中に酸化物として析出させる試みを行ったが、本年度はこれを進めてチタン化合物などより紫外線を吸収しやすい化合物の前駆体化合物を作製して、種類の異なる紫外線源による変化を検討した。
チタン化合物としては、空気中での取り扱いを容易にするためにアルカノールアミンなどで安定化した有機金属化合物を利用した。これを紫外線を照射しやすい形状に塗布した後、通常良く利用される超高圧水銀ランプ、あるいは214nmの短波長域に強い吸収を持ち、またオゾン発生の問題がないY線ランプの応用を試みた。このプロセスによって、単純に有機成分の分解が生じるだけでなく金属の結合エネルギーから考えると酸化物であるチタニアとほぼ同じ結合状態が生成した。特異的な構造変化として、回折現象を利用するXRDや電子線回折などでは結晶性という情報は得られないのに対して、局所的な構造変化に敏感なラマン散乱による解析では、紫外線照射後の薄膜は室温で準安定相であるアナターゼと同じスペクトルを示すことが明らかとなった。このようなナノオーダーでの構造変化は、原子のわずかな再配列を起こすことはできるが十分な粒成長を起こすことはできないこの紫外線照射特有のものであると考えられる。このプロセスは、高温を必要としないために、有機基板上などにこうした化合物を複合化させることができる特徴を持っている。
得られた化合物を薄膜化した場合には、高温の熱処理で作製したものと同程度の高い屈折率を示したり、あるいは、水中に存在する有機化合物を紫外線照射によって分解できるなど、応用面についても知見が得られている。ただし、こうした光触媒作用などは、Y線ランプを利用して合成した薄膜に顕著であることから、波長選択の重要性が特性面からも確認できた。また、こうした紫外線による局所的な再配列によるラマン散乱の変化は、単成分化合物だけでなく複合酸化物でも観察された。